以下は佐久間の
「博物館の設置及び運営上の望ましい基準の全部を改正する告示案」に関するパブリック・コメント(意見公募手続)の実施について
への下書き。
◯文部科学大臣が定める意義
本戦略は博物館法8条に基づき、文部科学大臣が定め、公表するものである。博物館に関する行政は現在、文化庁の所管になっているが、文部科学大臣として、広く学術の振興・学校教育と社会教育・文化の発展の視点から博物館政策への言及が望まれる。学術の発展を支える様々な分野の研究資料や証拠標本を担い、実物を通して児童から地域住民にまで教育の機会を提供し、地域の文化や伝統を記録継承し、発展させる博物館の役割を所管大臣として位置づけていただきたい。
そのためには
科学技術基本計画及び科学技術・イノベーション基本計画、教育基本計画や生涯学習推進体制、文化芸術推進基本計画などへの言及を3条3項などに追加すること
が必要と考える。
今後、相互参照として他の計画などにも博物館について書き込みを促進することを望む。
関連して12条には「家庭及び地域社会との連携」が述べられるが、ここには「他の博物館」だけでなく、WG原案にある通り、「公民館、図書館、文化会館、劇場、音楽堂」などとの連携を記述すべきである。この言及は文化庁と文部科学省の政策連携のためにもぜひとも必要であり、この点において、文化庁長官ではなく文部科学大臣による告示である意義がある。文化芸術基本法に従う観点からも図書館などを含め言及すべき内容である。
◯望ましい基準を実現するための戦略の必要性
文化芸術基本法では文化芸術基本計画を定め、計画的な推進を定めている。定期的な改訂がなされ、計画に沿った施策が実施される。望ましい基準も、法に基づき大臣が「博物館の健全な発達を図るため」に定めるものであり、その達成に向けた施策の立案が必要になる。望ましい基準を達成するための期限を定めた計画、戦略の策定が必要だと考える。文部科学大臣が出す告示として、望ましい基準は、博物館設置者、指定管理者およびその選定を行う自治体、博物館館長、学芸員、スタッフ、関係者に様々な要請をしているが、要請する側の文部科学省および文化庁の博物館支援に向けた中長期政策が明示的に示すことが必要と考える。要請の実効性を
◯研究について
8条は博物館の研究の促進として学芸員個々の研究だけでなく、交流、公表、研究支援など幅広く言及している。この言及自体は歓迎するところであるが「博物館資料に関する研究」という限定的に受け取られることのある定義を実態に即して、「博物館資料とその関連情報に関する研究」と改訂すべきである。
また、3条5項にある「国際的な状況や海外博物館の動向」は海外調査や生物多様性保全、人権配慮など研究にも当てはまる内容である。このため動揺の文言を8条にも追加が必要である。
◯指定管理者に対する言及について
自治体の指導の必要などが言及されたところであるが、破綻時や指定管理者撤退時の資料・人員などの引き継ぎプロセスも自治体が定める必要がある。実際指定管理者の交代によって学芸員も含めた専門職員が大幅に入れ替わることは資料や教育活動の継続の大きな障害になっており、しばしば問題も産んでいる。これを避けるための十分な取り組みを自治体に要求すべきであろう。
法に書かれていない6条2項のような多様な方針策定を要求するのであれば、破綻処理・後退時に関する取り決めの要求も十分できるはずである。
◯利用者の要望に基づく合理的配慮
9条2項にある「特に配慮を要する者の円滑な利用」や11条に書かれる配慮は、利用者要望に基づく合理的配慮のプロセスから外れ、管理者側の一方的な配慮となっている。利用者の要望に応じた、双方の交渉に基づくといった合理的配慮基準に基づくよう表現を改められたい。
◯資料の廃棄や譲渡の基準について
6条2項に書かれた資料の譲渡や交換、廃棄基準の策定に対しては、所管省庁として文化庁が要求すべき配慮点が多い。
・文化財保護法との調整が必要である。多くの歴史系博物館で大部分を占める出土遺物の廃棄手順が文化財保護法では想定されていない。所管省庁である文化庁内で調整がなされない限り、自治体が勝手に定めることはできないだろう。
・ワシントン条約など環境省管理下で譲渡された資料の廃棄や譲渡は、同条約では厳格な手続きが必要になる。文化庁として調整済みなのだろうか。
・民族に関わる資料・原産国で重要とされる資料の取り扱いはユネスコ勧告やICOM倫理規定で繰り返し慎重な取り扱いが要求されている。自然史資料でもICOM自然史博物館のための倫理規定で譲渡や売却、廃棄の抑制が強く示されているところである。
こうした配慮すべき法や規定、国際的基準・勧告への網羅的な言及が必要である。
逆に、そうした記載なしに自治体が配慮のない譲渡や廃棄基準を作ってしまったときの責は文化庁が追うことになる。できないのであれば、この記載は取り下げるべきである。
◯非営利組織の経営について
2022年法改正によって、私立博物館も、免税措置が広がった。これは博物館の公益的機能、すなわち、営利事業ではない博物館の「非営利的な事業」の重要性が認められた事による。
たしかに博物館は非営利事業ではあってもその活動の原資が必要である。しかし、その手法は営利事業と同じではない。3条4項が述べるように多角的な経営資源獲得が必要なことは疑いないだろう。
しかし、これは上述のように公共性の高い非営利組織の経営資源確保を前提とした活動であって、私的な営利事業のように拡大解釈されるべきではない。記述の前提を書き込む必要がある。
それにしても、収入の拡大はすべての博物館が追求すべきものだろうか?
低コストに徹し、無料開放で実施する博物館や、設置者が十分な資源を用意し、博物館活動は収入多角化を心配しなくて良いケースもある。個々に例示したケースが多数とは言えないが、3条5項をすべての博物館に求めるべき事項ではない。この点を配慮した書きぶりが必要である。
これらが難しいのであれば簡素な記述に留めるべきだろう。
とりあえず今夜はここまで。
「博物館の設置及び運営上の望ましい基準の全部を改正する告示案」に関するパブリック・コメント(意見公募手続)の実施について
への下書き。
◯文部科学大臣が定める意義
本戦略は博物館法8条に基づき、文部科学大臣が定め、公表するものである。博物館に関する行政は現在、文化庁の所管になっているが、文部科学大臣として、広く学術の振興・学校教育と社会教育・文化の発展の視点から博物館政策への言及が望まれる。学術の発展を支える様々な分野の研究資料や証拠標本を担い、実物を通して児童から地域住民にまで教育の機会を提供し、地域の文化や伝統を記録継承し、発展させる博物館の役割を所管大臣として位置づけていただきたい。
そのためには
科学技術基本計画及び科学技術・イノベーション基本計画、教育基本計画や生涯学習推進体制、文化芸術推進基本計画などへの言及を3条3項などに追加すること
が必要と考える。
今後、相互参照として他の計画などにも博物館について書き込みを促進することを望む。
関連して12条には「家庭及び地域社会との連携」が述べられるが、ここには「他の博物館」だけでなく、WG原案にある通り、「公民館、図書館、文化会館、劇場、音楽堂」などとの連携を記述すべきである。この言及は文化庁と文部科学省の政策連携のためにもぜひとも必要であり、この点において、文化庁長官ではなく文部科学大臣による告示である意義がある。文化芸術基本法に従う観点からも図書館などを含め言及すべき内容である。
◯望ましい基準を実現するための戦略の必要性
文化芸術基本法では文化芸術基本計画を定め、計画的な推進を定めている。定期的な改訂がなされ、計画に沿った施策が実施される。望ましい基準も、法に基づき大臣が「博物館の健全な発達を図るため」に定めるものであり、その達成に向けた施策の立案が必要になる。望ましい基準を達成するための期限を定めた計画、戦略の策定が必要だと考える。文部科学大臣が出す告示として、望ましい基準は、博物館設置者、指定管理者およびその選定を行う自治体、博物館館長、学芸員、スタッフ、関係者に様々な要請をしているが、要請する側の文部科学省および文化庁の博物館支援に向けた中長期政策が明示的に示すことが必要と考える。要請の実効性を
◯研究について
8条は博物館の研究の促進として学芸員個々の研究だけでなく、交流、公表、研究支援など幅広く言及している。この言及自体は歓迎するところであるが「博物館資料に関する研究」という限定的に受け取られることのある定義を実態に即して、「博物館資料とその関連情報に関する研究」と改訂すべきである。
また、3条5項にある「国際的な状況や海外博物館の動向」は海外調査や生物多様性保全、人権配慮など研究にも当てはまる内容である。このため動揺の文言を8条にも追加が必要である。
◯指定管理者に対する言及について
自治体の指導の必要などが言及されたところであるが、破綻時や指定管理者撤退時の資料・人員などの引き継ぎプロセスも自治体が定める必要がある。実際指定管理者の交代によって学芸員も含めた専門職員が大幅に入れ替わることは資料や教育活動の継続の大きな障害になっており、しばしば問題も産んでいる。これを避けるための十分な取り組みを自治体に要求すべきであろう。
法に書かれていない6条2項のような多様な方針策定を要求するのであれば、破綻処理・後退時に関する取り決めの要求も十分できるはずである。
◯利用者の要望に基づく合理的配慮
9条2項にある「特に配慮を要する者の円滑な利用」や11条に書かれる配慮は、利用者要望に基づく合理的配慮のプロセスから外れ、管理者側の一方的な配慮となっている。利用者の要望に応じた、双方の交渉に基づくといった合理的配慮基準に基づくよう表現を改められたい。
◯資料の廃棄や譲渡の基準について
6条2項に書かれた資料の譲渡や交換、廃棄基準の策定に対しては、所管省庁として文化庁が要求すべき配慮点が多い。
・文化財保護法との調整が必要である。多くの歴史系博物館で大部分を占める出土遺物の廃棄手順が文化財保護法では想定されていない。所管省庁である文化庁内で調整がなされない限り、自治体が勝手に定めることはできないだろう。
・ワシントン条約など環境省管理下で譲渡された資料の廃棄や譲渡は、同条約では厳格な手続きが必要になる。文化庁として調整済みなのだろうか。
・民族に関わる資料・原産国で重要とされる資料の取り扱いはユネスコ勧告やICOM倫理規定で繰り返し慎重な取り扱いが要求されている。自然史資料でもICOM自然史博物館のための倫理規定で譲渡や売却、廃棄の抑制が強く示されているところである。
こうした配慮すべき法や規定、国際的基準・勧告への網羅的な言及が必要である。
逆に、そうした記載なしに自治体が配慮のない譲渡や廃棄基準を作ってしまったときの責は文化庁が追うことになる。できないのであれば、この記載は取り下げるべきである。
◯非営利組織の経営について
2022年法改正によって、私立博物館も、免税措置が広がった。これは博物館の公益的機能、すなわち、営利事業ではない博物館の「非営利的な事業」の重要性が認められた事による。
たしかに博物館は非営利事業ではあってもその活動の原資が必要である。しかし、その手法は営利事業と同じではない。3条4項が述べるように多角的な経営資源獲得が必要なことは疑いないだろう。
しかし、これは上述のように公共性の高い非営利組織の経営資源確保を前提とした活動であって、私的な営利事業のように拡大解釈されるべきではない。記述の前提を書き込む必要がある。
それにしても、収入の拡大はすべての博物館が追求すべきものだろうか?
低コストに徹し、無料開放で実施する博物館や、設置者が十分な資源を用意し、博物館活動は収入多角化を心配しなくて良いケースもある。個々に例示したケースが多数とは言えないが、3条5項をすべての博物館に求めるべき事項ではない。この点を配慮した書きぶりが必要である。
これらが難しいのであれば簡素な記述に留めるべきだろう。
とりあえず今夜はここまで。



















